不動産鑑定評価で決めることは?
まずは価格時点を決める
不動産の価格は時とともに変動するものなので、鑑定評価を行う場合には「いつ時点」の価格などを最初に決める必要があります。
大抵は現地調査を行った日(実査日)で決めることが多いですが、売買の関係や企業の決算の関係でその月の一日にすることもあります。ただし大事なのは、現地調査が例えば4月1日なのに価格時点が5月1日など、現地に行った日より価格時点が将来になってる場合には、再度5月1日以降に現地調査をするとか、発行日までに再調査をすることが必要になります。
ごくまれに将来時点で完成予定のプロジェクトの資産価値を出さなければならない場合には、将来時点もありえますが、一般的には適切な鑑定評価とはいえません。
鑑定評価で大切な「類型」とは?
不動産鑑定評価では類型と呼ぶ不動産の状態の違いは価格に大きな影響を与えます。例えば「更地」ならば、建物が何もなく、駐車場とさえ利用されていないものを指しますが、「更地として」は、建物が建っていたり、借地権が設定されていたりするけれども、それは考慮しないで土地だけの価値を査定するという意味になります。
したがって「更地として」の場合、鑑定評価条件などを参照して、「現状はこうだけど、評価上はこう」という違いを理解する必要があります。
不動産鑑定士は依頼者の意向をうけて、このような類型を設定し、評価条件を記述しますが、まれに依頼者との間で介在する連絡者などがその違いを理解していただけず、混乱することがあります。しかしこの類型というのは不動産鑑定の中では基本的でありながら重要な事項なので、依頼をするほうもお気を付けいただけるといいかと思います。
そのほかに決めるべきことは?
立ち合いを頂ける人や、資料をご用意いただける人、または鑑定評価を行う目的やこの結果をだれに、どの範囲まで伝えるかも、決める必要があります。そしてもちろん、報酬やその支払い期日や方法も業務を開始する前に決めておく必要があるでしょう。
我々不動産鑑定士は依頼者から依頼を受けて行うものですが、その業務を行う上では実は依頼者とのコミュニケーションによって決めていただくことがとても多いことがわかります。
それゆえに、自分にとってコミュニケーションの取りやすい鑑定士を選ぶことも大切になってくるのかもしれません。