• 田井の目

”タワマン増税”の影響は?

タワーマンション節税に待ったをかけるような税制改正がいよいよ現実化するというニュースが報道されました。

課税の見直しが対象になるのは20階以上の超高層の共同住宅で、上層階に行くほど資産価値が高いのにかかわらず、税制上の評価が面積割合に基づくため、割安で評価されてる不均衡を解消するために行われるようです。

ただしこの税制に関し、新聞によっては固定資産税と相続税の両方であると報じてるものもあれば、固定資産税だけだと報じているものもあり、どっちなのかよくわからない点もあります。

もちろん相続税上の建物の評価は固定資産税上の建物で行われることが多いので同じといえば同じですが、厳密にいうと固定資産税と相続税はその評価基準も違えば地方税か国税か徴収する主体も違うので、正確な情報が待たれますが、とにかくひっくるめた税金が上層階に住む人にとって増税になりそうなのは間違いありません。

しかしこの制度の対象が18年以降に引き渡す新築物件であることは注目に値します。

現行の税負担を前提にした人から批判が出るのを避けるためですが、そうなるとあと2年間はメリットが享受できるラストチャンスとして、より高層階のニーズが高まることと思います。またその後も、18年までに買ったマンションは税制の特典付きとして、中古でも新築よりも高く流通する可能性も高いのではと思います。

富裕層にしかできない節税対策であるという不満を解消するために行われる改正が、改正前と改正後に大きく税制上のメリットが異なると、それに対しての格差の大きさが新たな不満のタネになりそうですし、適切な不動産流通を阻害してしまいそうでありますので、導入にあたっても急激に評価額を変えるのではなく、例えば段階的にするなどして、ただでさえ危ぶまれるオリンピック前の不動産市場に冷や水をかけるような政策は避けて頂きたいと願うばかりです。

そして余談ですが、この制度を担保するには階層によってどのくらい資産価値が変わるのかを適切に評価する仕組みが必要となります。
ちなみに韓国では不動産鑑定士によってマンションの価格の調査が行われ、それが公示されてます。

日本では土地の評価は不動産鑑定士が行っていますが、建物やマンションについては不動産鑑定士による市場価値を反映した評価はされていません。これを機会にそのような評価の必要性を考えていただけると、われわれにとってはありがたいことでありますのでよろしくお願いいたします。

【関連資料】
→ 2016.10.25 日経新聞より (PDF:72KB)

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