不動産鑑定の3つの方法
その1.原価法
1つ目は、同種同様の不動産を再び購入すると仮定した場合に必要となる金額を「再調達原価」として求め、これに価値の低下に起因する減価修正を加味して算出する「原価法」です。ざっくりいうと同じような物件を購入するにはいくらかかるのか、という視点での不動産鑑定方法になります。
建物が老朽化している場合にはそのマイナス分として減価修正を行います。この方法は主に土地付建物の鑑定評価をする際に利用されます。一方で土地のみの評価にはあまり向いていません。建物は減価償却など価値のマイナス分の算定豊富が明確なのに対し、土地は無償却資産なので、減価修正を行うことが困難だからです。また、この手法により算出された不動産の価格を積算価格と言います。
その2、収益還元法
2つ目は不動産から得られる地代・家賃などの収益を将来にわたって算出し、それらをすべて現在価値に割引して評価を行う「収益還元法」です。この方法においては現在価値の概念が少し難しいですが、例えば金利を1%として「今すぐ100万円をもらう」場合と「10年後に100万円をもらう」場合とどちらが得かを考えてみます。
前者の場合、複利計算によって10年後には110万4622円になり後者よりも得であると結論付けられますが、比較を行う場合にはこのように「時点」をそろえる必要があります。不動産鑑定でも同様の方法で、時点をすべて現在に統一します。このようにして求められた不動産の価格を収益価格と言います。賃貸不動産の鑑定評価に主に用いられています。
その3、取引事例比較法
3つ目は対象地の近傍にある他の不動産の取引価格を求め比較を行う「取引事例比較法」です。過去に取引がなされた近隣の物件の取引価格に、必要な時点修正、事情補正を行ったうえで当該不動産の価格を求める方法です。
収益を出すことを目的としていないエンドユーザー向け物件が対象となり、たとえば分譲賃貸マンションなどは対象外になるということです。その地域の相場にあった不動産価格を求めることができるというメリットがあります。この方法で求められた価格を比準価格といいます。
このようにして不動産鑑定においては色々な方法で不動産の価値を算定することができますが、通常はこれらの方法よって求められた価格のうち2つ以上を比較検討し、最終的な価格を決定します。方法ごとのバランスをとるためです。