不動産鑑定に必要な資料は?
土地の場合は地番と筆数
不動産鑑定のご依頼を頂く際に、どのような資料を用意すべきかを聞かれることがよくあります。
不動産鑑定をお願いすることは初めての方がほとんどなので、知らないのは当然ですが、この資料の出具合というか準備の状態で、不動産鑑定の作業がスムーズにいくかどうかが決まるので、依頼をお考えの方は是非ご一読して頂きたいと思います。
まず、絶対欠かせないのが、評価する土地や建物の所在が分かる資料で、ネットで取集した地図でもいいのですが、できればそこの住居表示でなく地番表示を教えて頂きたいのです。
その理由として、他の登記事項証明書や固定資産税の課税明細など、不動産に関わるものは地番表示が基本であるので、住居表示しかわからない場合には地番表示を調べるという、ひと手間がかかるからです。
従って、場所を地図でお示し頂くときは、地番をお示し頂き、かつ土地が何筆で構成されているかも教えて頂ければと思います。
これも土地は筆が一つの単位となっていいて、その筆ごとに所有者が決まるため、土地全体が何筆で構成されているのかを知ることは大事であります。
土地に関しては、この地番と筆数が分かれば登記事項を調べることで、面積や所有者などの様々な情報を入手することができます。
建物の場合は竣工図や検査済書
土地の範囲が確定し、その上にある建物が鑑定評価の対象になっている場合には物理的な建物の把握は比較的容易です。
ただし、価格を求めるためには、その建物がどんな材料で作られ、どんな間取りで、どんな用途があるかなどを調べる必要があります。
それ故に、建物を建てたときの竣工図や検査済書をお借りすることがあります。
ただし古い建物のため、これらの図面や資料がどこかにいってしまって見当たらないこともあります。
そうした場合、不動産鑑定ができないわけではないですが、状況がわかなない点はすべてリスクと考える傾向にあるので、不動産価値を安全性を考え、低め低めに判断することになると思います。
契約書や耐震診断書も。。
上記の土地と建物に関する資料は極めて基本的なものですが、土地の一部や建物が賃貸されている場合には、それを所与とするならば契約書が必要になります。
また、J-RETなどに組み入れる予定の資産に関しては、建物の状況を建築家などが詳しく調べ、長期的な修繕に要する費用を査定してもらった、「エンジニアリポート」が不動産評価にあたっての必須の資料となります。
このように不動産に関する資料は、評価の対象となる不動産が大きくなったり、複雑になればなるほど必要な資料が多くなることに注意を要する必要があります。
もちろん不動産鑑定評価をお願いして頂いた方は依頼者でありお客さまであります。しかし、そのお客様が望む不動産の価値をきちんと査定するには、資料の取集の段階では依頼者というより、パートナーとなっていろいろご協力頂かざるを得ないことも多いのです。そのことを是非ご理解頂ければと思います。